山本昌、足掛け25年で悲願の200勝達成!○中日5-1巨人
勝・山本昌
負・木佐貫
【本日の感想】
僕がプロ野球に興味を持ち始めたのは小学4年生のとき。
当時、まだナゴヤ球場という狭いホームで戦っていた中日は、
「守り勝つ」とは程遠い打高投低の野球を持ち味にしていた。
今思えば、大豊とかパウエルとか山崎とか彦野とか・・・、
考えただけで冷や汗の出るような守備布陣で戦っていたものだ。
でも、そんな中でも、ほとんど打たれない凄い投手が中日には二人いた。
一人は、今や伝説となったスローカーブの使い手・今中慎二。
表情ひとつ変えず淡々と打者を「斬りおとしていく」様は、
小学生ながらそのストイックさに惚れてしまうほどだった。
そして、もうひとり。
クールで細身の今中とは対照的に、
いつも温和な笑顔を浮かべる体の大きな穏やかな人。
そう、彼こそが、山本昌その人である。
100キロ近い図体から放られる130キロ台の緩い球で打者を撹乱し、
「針の穴を通す」という比喩に相応しいコントロールで審判の目をも騙す。
そして、山本昌といえば、
枕詞のごとく用いられる決め球・スクリューボール。
そのどれもが当時の僕には魅力的で、
ちょうどテレビのヒーロー物から卒業した時期に出会った、
生まれて最初のリアル・ヒーローであった。
その頃はまだ、
その日その日の活躍にしか興味を持っていなかったが、
やがて見聞を広めると、なんと山本昌という投手は、
僕が生まれる前から中日にいた事がわかった。
1984年にルーキー年を迎え、そこから中日一筋。
そういえば「山本昌=ベテラン」という印象を持ってからも、
もう10年くらいが経っているんじゃなかろうか。
だが、とにかく息が長い山本昌も、ずっと輝き続けてきた訳じゃない。
途中、怪我で勝ち星を減らす時期もあったし、
若手の台頭でローテの三番手に回ることもあった。
それでもこの人の凄いところは、またすぐに華々しく復活するところにある。
例えば1995,96年と二年続けて一桁勝利に終わったかと思うと、
翌1997年には最多勝を挙げて汚名返上。
また、40代を迎えてそろそろ引退の声が聞こえ始めたかと思うと、
史上最年長でのノーヒットノーランをやってのけたり、と。
とにかく山本昌は、ずっと輝き続けるわけじゃなく、
ある時…、それこそ忘れられかけた時、
突然誰よりも燦然と輝き、周囲を仰天させるタイプの人なのだ。
それは、200勝へ向けてのチャレンジにおいても例外ではなかった。
2006年に11勝を挙げて通算191勝とした山本昌は、
嫌でも周りが記録を意識する中、残り9勝を懸けて2007年に臨んだ。
が、しかし、結果は見るも無残な2勝10敗。
チャンスを与えられなかったのではなく、
与えられたチャンスを悉くふいにしての結果だった。
まさか、昌が2勝しかできないなんて・・・。
記録を期待していた大方のファンは意外な成績に落胆したし、
他の誰でもない昌自身、身を退くことを意識したという。
そうした中、背水の陣の覚悟で臨んだ2008年は、
怪我以外では入団初期以来という二軍でのキャンプを迎えた。
それまでずっとホテルが個室だったのも、
特別扱いをしないという落合監督の意向の下、
高卒間もない若い選手との同部屋に「格下げ」。
一見すればプライドを傷つけかねないこの方針だが、
山本昌自身は周囲の過剰なプレッシャーから解放され、
初々しい気持ちでシーズンに臨めたとこの一件を振り返る。
そして迎えた今季初登板は、4月1日の巨人戦。
久々のマウンドは初回に早々と背中の痛みを訴え降板するも、
その表情は前年にみられた緊張感で包まれたそれではなく、
本来の昌らしい晴れやかな笑顔に戻っていたように思えた。
それから一ヶ月後の5月7日、背中痛から復活した昌は広島戦で初勝利を挙げると、
その後は一度の足踏みを経験しながらも順調に白星を重ねる。
そして、いよいよマジックは「1」となり、8月4日を迎えた。
相手は、現役最多38勝を誇るお得意の巨人戦。
過去に幾度となく死闘を演じてきた宿敵は、
大記録を達成するにはこれ以上なく相応しい相手である。
そして3万8千の大観衆が見守る中、
運命の18:00、プレイボールの声が鳴り響く。
さすがに今日ばかりは、球場全体が妙な雰囲気に包まれていた。
現地にいたわけではないが、テレビからそれはよく伝わってきたし、
試合前から僕自身、仕事が手に付かないほど緊張感で一杯だった。
だが、ファンがこれだけ騒然となる中、
当の本人だけは、極めていつも通りだった。
背をピンと伸ばした躍動的なフォーム。
打てそうで打てない、52回転/秒を誇るキレ味満点の直球。
そうだ、これが山本昌だ。
何一つ変わっちゃいない。
小学生の時分、仮面ライダーやウルトラマンを卒業し、
初めて「あこがれ」という視点で人を見た、あのときの山本昌と、
何一つ変わっちゃいない。
そうして投げた、9回127球―。
史上24人目の200勝達成 この素晴らしい日を、僕は一生忘れない。
山本昌は、今も昔も、ずっとみんなのヒーローだ。

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2008.08.05(Tue)04:16 |
山本昌 |
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