イレコミ!ドラゴンズ

黄金期の軌跡を形に残しときたくて削除せず放置してます
[中日ドラゴンズ] [スポーツ]




あるスポーツ紙が昨夜の采配を「非情采配」と表現していて驚いた。
もちろん見出しとしてのインパクトに重きを置いただけであろうし、他意を勘繰るのは無粋だと思うが、
少なくとも今回のCS5戦をきちんと見てきたファンからすれば「非情」という言葉は出てこないはずだ。


問題の場面は9回表。もう目の前まで手繰り寄せた勝利を前に、落合監督はマウンドへ向かった。
青木にタイムリーを打たれたとは言え、二死一塁。慌てるほどの局面でもない。
それでも落合監督はあと一死をより確実に取るべく、浅尾をマウンドへ送った。

4年前には完全試合目前の投手を下げてまで送りだした絶対的守護神への降板指令。
岩瀬のプライドを顧みず一貫して勝利に徹するその姿が「非情」だと言うのなら、そうなのかもしれない。
ただ、ファン目線で見るならこれと同じような継投はシーズン中もしばしばあったし、
そもそもCS初戦では丸っきり逆パターン(浅尾→岩瀬)で勝ってるわけで、
昨夜の継投をして直ちに「非情采配!時代が動いた瞬間!」と騒ぐのは少し違うのではと思う。


確かに4年前に比べれば岩瀬への信頼度が年々下降しているのは誰もが認めるところだが、
それでもなんだかんだで一流と呼べる成績を残してくる岩瀬は、やはり絶対に必要な存在である。
ただ、以前のように「岩瀬で負けたら仕方ない」と頑なに固定起用するレベルからは落ちただけであって、
浅尾がとてつもない成長っぷりで岩瀬を凌ぐ存在へと進化したからと言って、「イコール岩瀬ダメ」ではなかろうと。

4年前は浅尾が今のポジションにはいなかった。だからあの時点で最も信頼度の高い岩瀬を出した。
今は浅尾がいる。しかも昨夜の岩瀬は明らかに球が高く、絶対に抑えてくれるとは言い切れない状態。
打席には一発長打のある畠山。だが、それゆえに落ちる球で三振を狙える打者でもある。
落ちる球を持っている浅尾と、持っておらず調子も悪い岩瀬。天秤にかえれば自ずと答えは出る。



むしろ私は「非情」どころか極めて人情味あふれる交代劇だったようにさえ思う。
あの時、マウンドに歩み寄った落合監督は優しい目をしながら岩瀬の腰に手をやって降板を告げた。
そして試合に勝ち、胴上げの輪が解けた際に大勢の選手・コーチの中から落合監督が
真っ先に声をかけに行ったのは、他の誰でもない岩瀬だった。笑顔で肩を揉み労をねぎらう姿が印象的だった。

プライドを顧みないどころか、誰よりも岩瀬の築いてきた実績に敬意を払っているのは落合監督だと思う。
無論、実績だけで勝てる世界ではないので、時と場合によっては昨夜のような降板も当然ある。
それでも、あの大事な試合の中でもアフターケアを怠らないあの気遣いこそが落合の名将たる所以だろう。


プライドを重んじるあまり続投させて同点あるいは逆転を許すような「優しい悲劇」を招けば、
メディアもファンも一斉に岩瀬抑え失格論を唱えるのは目に見えている。
ならば同じくらいの優しさをもって降板という選択をしたことに、何ら疑問を挟む余地はない。

そして4年前も今回も「非情采配」とやらの結果、中日は勝った。
采配の正しさを証明するには、それだけで充分である。




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「めちゃくちゃデカい」



エースの名に相応しい投球をした吉見は、今夜の勝利をこう表現した。
1勝のアドバンテージが付くからこそ、今夜は絶対に勝たなければならない試合だった。
頭を取るか取られるかでは明日以降の展開も大きく変わってくる、その大事な試合に勝てた。
細かい部分では小さなミスも散見されたが、全体的にはいわゆるナゴヤドーム「らしい」勝ち方だったと言えよう。


だが「めちゃくちゃデカい」のは、勝ち負けの話だけではない。
シーズン最終盤に不調に陥ったアライバの復調、そしてなんといってもキーマン森野が猛打賞。
内容的にも明日からの弾みをつけるには最高のメンバーが打ったことが、あまりにもデカい。


そして注目すべきは9回表、シーズン中とは真逆の継投にこそ、中日の真の強さを見た気がする。
8回途中から登場し、イニングを跨いだ浅尾は、しかしボールにバラつきが目立ついまいちの状態。
二つの四球で二死一、二塁とし、対するはホワイトセル。ここで落合監督がマウンドへ向かう。

私はてっきり浅尾をなだめに行ったものだと思い込んでいたのだが、笑みを浮かべて一言二言喋ったあと、
なんと落合監督は球審からボールを受け取り、岩瀬へとスイッチしたのだ。
岩瀬がピンチを迎えて浅尾に後処理を任せるパターンはしばしばあったが、逆のケースは珍しい。

そりゃそうだ。今や浅尾はMVP最有力ともいわれる球界最強のリリーバーである。
言いかえればそれ以上の投手はいないわけで、ちょっとピンチを迎えたからって普通なら代えない。
例えば阪神なら9回に藤川がピンチを背負ったって、十中八九そのまま任せるに決まっている。
ましてや二死だ。今季の実績から考えても浅尾に行かせるのが定石だし、多分シーズン中ならそうしていただろう。









それでも落合監督は最後の一死を取るためだけに、浅尾から岩瀬にバトンを繋いだ。
2007年日本シリーズ第5戦の9回表、山井から岩瀬に代えたあの時と理由は同じ。
こうすることが、流れの行き来の激しい短期決戦においてより確実に勝つための最善策なのである。

その岩瀬がごく簡単にホワイトセルを打ち取り、大事な初戦をまずは取った。
強い。浅尾だけでも相手には充分なプレッシャーを与えられるのに、岩瀬が控える凄さ。
さらにこの二人の役割を固定せず、場面次第で巧みに使い分けられるのが今季の強さの秘訣であろう。

対してビハインドからバーネット、松岡、林昌勇を総動員せざるを得ないヤクルトの厳しい懐事情。
1点差というと紙一重にも思えるが、よく見れば二重も三重も差があるように私は感じた。


本来の野球を存分に見せつけての先勝。結果的にも内容的にも、めちゃくちゃデカい1勝である。




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[中日ドラゴンズ] [スポーツ]





かつての輝きがまばゆければまばゆいほど、色褪せたときの切なさは強くなる。

声の出なくなった往年のヒット歌手然り、老けこんだ美人女優然り。
痛々しいと表現することも多いこの気持ち。残念ながら今夜も中日ファンの胸にはその感情が渦巻いてしまった。









史上最多の289セーブを挙げてきた鉄腕左腕につきまとう悲哀。
もう今の岩瀬には、かつての輝きは見られない。
登板のたびにガッカリと肩を落としている姿ばかり見ている気がする。


今夜の自責点は河原につくが、それを死守しなければならないのがクローザーの仕事。
無死二塁で登板し、何事もなかったかのようにゼロで戻って来るのがかつての岩瀬の雄姿だった。
だが到底守り切ることができる気配すら感じさせない岩瀬は、もうこの役職を退くべき時なのかもしれない。


前半戦最後の試合は、深刻な貧打に岩瀬背信と、今季のチームを象徴するような負け方で借金ターンが決まった。
問題は山積している。これらをどう処理していくのか、中日史上最強監督の手腕が楽しみな後半戦になりそうだ。





[中日ドラゴンズ] [スポーツ]








9回2アウト2ストライク。
あと1個ストライクを取った瞬間、前人未到の領域へと歩を進めることになる。
打者は小久保。相手に不足なし。大勢の観衆が、TVの前のファンが固唾を飲んで見守る中、
岩瀬はすっと腰を落として靴紐を結び直した。



今季の岩瀬は統一球の作用でスライダーにかつてのキレが戻ったとキャンプの時から評判で、
本人もインタビュー等で例年になく好調であることを頻りにアピールしていた。
だがシーズンが始まってみると守護神は毎度のように打ちこまれ、なんとかかんとか抑えるも
その防御率はクローザーとしての許容範囲を超えるものであった。

2年ほど前から飛ぶ鳥を落とす勢いの浅尾の台頭により少しずつ信頼は落ちてきており、
クローザーの交替時期もそう遠くはないと言われ続けている。
現に今季もセーブが付く場面であっても、際どいシーンでは浅尾が続投することもちらほら。
またセーブ記録を伸ばすため"だけ"の9回2死からの登板なんてこともある。

しかし、それでも中日のクローザーはまだまだ岩瀬でなくてはならないのだ。
私も岩瀬で負けた試合のあとは思わず浅尾転向論をつぶやいてしまったりもするのだが、
ここぞの場面での信頼度では、岩瀬以上の投手は今の中日には見当たらないとさえ思う。

36歳。年齢的にも衰えが見えはじめても仕方のない頃だ。
その影響を最小限にとどめて未だに過酷なクローザー稼業を続けられるのは、12年前から
使い続ける伝家の宝刀・スライダーが未だ輝きを放ち続けているのからに他ならない。



さて、場面は9回2アウト2ストライク、打者は小久保。
まるで決意を新たにするかのようにギュッと靴紐を結び直し、おなじみの投球フォームに入る。
そして捕手前田のサインに5回首を横に振った末に選んだボールは――、






「スライダー」



このボールで岩瀬はプロ野球の荒波をくぐり抜け、このボールで岩瀬は守護神にまでなった。
そして2011年6月16日。やはり岩瀬はこのボールで日本一のクローザーの称号を名実ともに手に入れたのだ。

おめでとう、球史に残るスライダー使い・岩瀬仁紀!



[中日ドラゴンズ] [スポーツ]





「ギリギリでいつも生きていたいから」とはKAT-TUNのデビュー曲のご一節だが、
10代ならまだしも社会人にもなればできるだけ平坦な道を歩きたいものである。


いや、たまの火遊びは刺激的でいいもんだぜと仰るチャラリーマンもおられるかも知れないが、
「たまに」だから面白いのであって、毎度のようにやってたんじゃ燃えカスになってしまう。
昨今の世相をみても求められるのは堅実さであって、危ない橋を渡ろう精神が時代に適合していないのは明白である。
特に最近は節電の試みでちゃっちゃと閉めて社員を退社させようとする会社が多いそうだ。



そんな中でも、どうやらこの御方は時代を逆行して「ギリギリを生きる」のがお好きらしい。







今季もやっぱり始まった恐怖の劇場。
2点は取られても3点目を与えないのが岩瀬の凄さ!と言われちゃそれまでだが、
一年間やられると見てる側も結構しんどいから、ちゃっちゃと終わらせて頂くことを切に願う。

そういえばB'zも「ギリギリ崖の上を行くように フラフラしたっていいじゃないかよ」って叫んでたな。
よくない、よくない。