イレコミ!ドラゴンズ

黄金期の軌跡を形に残しときたくて削除せず放置してます

肌寒い秋風が吹くこの季節、プロ野球は最も熱い時期を迎える。
優勝こそカープとホークスが早い段階で決めたが、熾烈な3位争いはまさに佳境に突入、
CS、日本シリーズと手に汗握る戦いはここからが本番である。


だが、それもAクラスのチームだけに許された特権。
我が中日ドラゴンズはここ5年間、優勝はおろかCS争いすらも遠い夢、
夏休みが終わる頃には来季へ向けた若手主体の戦いに切り替えるシーズンが続いている。

5年連続Bクラス。球団史上最長となる屈辱の歴史は未だ出口が見えず、
閑古鳥が鳴くのが当たり前となった寂しいナゴヤドームの客席が映るたび、
何とも言えないアンニュイな気持ちになる。


それもそのはず。
ついひと昔前まで、このチームはセリーグで一番強いチームだったのだ。
CS導入年から6年連続ファイナルステージ進出は今なお12球団で唯一無二の記録だ。
休日の試合ともなれば勝利を確信する老若男女がスタンドを埋め、強いドラゴンズに歓喜する。
常勝軍団の風格すら漂うおらが町のチームはアイデンティティであり、揺るぎなき誇りだった。


そんな強いチームの真ん中に君臨したのが福留、荒木、立浪、井端、川上、岩瀬、谷繁といった面々なら、
森野将彦という選手は最初は端っこにいながら凄まじい努力で真ん中に割り込んできた唯一の選手だったと言えよう。
森野を象徴する大好きな写真がある。








春季キャンプでいわゆる地獄のノックを受け、倒れる森野をとらえたものだ。


落合元監督が振り返る。
「森野なんか死ぬんじゃないかと思ったよ。ヨダレたらして、ベロを口の外に出して。
俺にバケツで水ぶっかけられたのを知らないって言うんだから。
あとから聞いたら、毎日グラウンドに来る前に病院寄って、点滴を打って乗り切ったらしい」。


かくして2006年、苦節10年で遂にあの立浪和義からサードのポジションを奪ったのも束の間。
今度は中村紀洋の電撃加入で外野に回され、
以後森野はその時々のチーム事情で常に不安定な立場を求められる便利屋のような役回りをこなし続けた。
それは毎年のように付け変わる背番号に象徴されていたのかもしれない。

近年は骨折の影響で衰えを隠せず、ファームで若手と一緒に汗を流す時間がほとんどだった。
それでもたまに一軍で打席に立つと、何かやってくれるんじゃないかという期待感があった。
だけど以前ならスタンドまで伸びていた打球は途中で失速し、もう二度と復活しない事も薄々分かってはいた。


その森野が、21年間の野球人生に終止符を打つことを表明した。
全盛期にはいくらでも高額オファーはあったろうに、最後まで中日一筋を貫いてくれた事に感謝しかない。

“槍”と形容されるライナー性の打球が、大好きだった。

ドヤ顔でダイアモンドを一周する姿が、大好きだった。

死球を与えた相手投手をオラついた表情で威嚇するのが、大好きだった。

エラーで山本昌の完全試合を潰し、ノーノー達成時にも一人だけ引きつった顔をしているのが、大好きだった。

落合監督にいじられて照れ笑いを浮かべるのが、大好きだった。


アナウンサーのツイートで引退を知り、24日のナゴヤドーム最終戦でセレモニーが催されるのもそこで知った。
唐突すぎるよ。でも、このあたりがすごく森野らしくて良い。
事前準備もお膳立ても完璧だった立浪とは違う、この末っ子っぽさが森野なのだ。

ナゴヤドーム元年に入団し、酸いも甘いも全部経験した生き様はまさに“時代のヒーロー”。
黄金期の末っ子の引退は、一つの時代の終わりを感じざるを得ない。
来年からはきっと別の形でドラゴンズの新しい時代を作ってくれる事だろう。

21年間、お疲れ様。そしてありがとう。
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[中日ドラゴンズ] [スポーツ]

冬と言ってもまだ11月上旬。気温も20度前後ならさほど寒さも堪えない。
だがドラ戦士たちには越冬ツバメも時期を勘違いするほど猛烈な"厳冬"が一足先に訪れた。

衝撃の井端退団をゴングに幕を開けた怒濤の契約更改は、予想以上の大減額の嵐。
特に今日は和田の8,000万ダウンを皮切りに、浅尾5,500万ダウン、山本昌も2,000万ダウン。
吉見に至っては減額制限ギリギリの1億1,600万ダウンとなる1億7,400万円で判を押した。
これで昨日から二日間で計6億円(井端含む)のコストカットに成功し、まさに落合GMは無双状態である。


引退の近い荒木や和田はともかく、来季の6月頃復帰という明確な目安のある29歳の吉見については、
2億円は切らない線で抑えると思っていたのだが、Bクラス査定は予想以上に容赦なかった。
ただし指摘されている方も多いように、中日の選手は元の金額が高すぎる傾向がある。
これは前フロントが選手の機嫌を損ねるのを恐れて金額で鎮めていた"悪習"の結果だろう。

保留をすれば500万とか1,000万という金額が簡単に上乗せされたり、マイナス査定だったはずなのに
ゴネれば現状維持に修正されたり、もはや査定の体を成していない丼勘定が20年近くまかり通っていた。
もちろん中日だけでなく、一部を除いてどこの球団も選手の年俸高騰には頭を悩ませていると思う。

物価はこの20年横ばい、収益はむしろ下降線なのに、人件費だけが右肩上がり。経営者としては泥沼だ。
そういう意味でも今回の容赦ない査定と、有無を言わせずサインさせる毅然とした態度は、
真似する球団が他にも出てきておかしくないほど合理的かつ革新的なものだと思う。


確かに選手にとっては厳しい。しかし一昔前のように易々と年俸アップが望める時代は終わったんだぞ、と。
少なくともBクラスに沈んだチームの主力選手が笑顔で会見できるような時代は終わったんだぞ、と。
これからの球界は落合流の超厳冬が当たり前になるだろう。

では、ここで鬼の契約更改を終えたあとの引きつった選手の顔をご覧頂こう。





てろ〜ん



あま〜い。やっぱ落合さん、森野にはあまいよー。




[中日ドラゴンズ] [スポーツ]

8年振りとなる新監督を迎えての開幕が、いよいよ明日に迫った。
良くも悪くもこんなにファンが注目するシーズンも久しぶりではなかろうか。
話題の中心は、やはり山崎と川上。そしてOBだらけのコーチ・スタッフだ。


私も様々な思いに駆られたオフシーズンだったが、
今はただ今年も野球が見られることの幸せと楽しみを噛みしめ、明日を迎えるばかりである。
山崎も川上も、その他のOBも心底応援するし、迷いは一切ない。
例年通りのワクワク、ドキドキで一杯の開幕となった。


さて、今季注目する選手をひとり挙げろと問われれば、私は即答したい。









昨季、地獄を見た男は再び輝きを取り戻せるのか。
答えは明日18:00から、半年間144試合かけて導き出すことになる。




[中日ドラゴンズ] [スポーツ]






さすがに3連勝が難しいのは分かりきっていたことなので、特段痛い敗戦ではない。

むしろ今日あたりは「ホークス打線大爆発の巻」が来るかと思っていただけに、
12安打を放ちながら4点に留まったホークス的には、なおも微妙な違和感を拭えていないのではなかろうか。
試合後、笑顔でハイタッチしながら声を挙げて勝利を喜ぶホークスのベンチが映ったが、
どうも違和感をごまかそうと必死で自分たちを鼓舞せんとする「わざとらしさ」を感じた。

一方の中日はと言うと、4安打で2得点、それも内ゴの間の1点と犠飛での1点という「らしい」取り方だ。
負け方としてもビハインドで始まった試合を最後まで食らいつき、なおかつ浅尾を温存できたナイス敗戦だと言えよう。
中日がナゴヤで負けるときは反攻する気概もなくあっさり終ることが多いので、まだ気概が見られただけでも満足だし、
福岡で登板機会のなかったリリーフ陣を一気に試せたのも大きい。


頭の悪い解説者は「ホークスらしい勝ち方」だの「流れがホークスに来た」だのと場当たり的なことを言うのだろうが、
明らかにまだ流れを支配をしているのは中日であるし、むしろ3試合で今夜が一番中日らしかったとさえ思う。







で、大事なのは明日である。
負けても良いくらいの気持ちで臨めた今夜と違い、明日は貪欲に勝ちたい一戦になる。
予想される先発は最多勝のホールトン。一筋縄には行かない投手ではあろうが、実はあまり心配はしていない。
和田、杉内、摂津に比べれば中日打線が一番やりやすそうな投手でもあり、交流戦でKOした実績もあるからだ。

むしろ気を付けたいのは、ホークス打線を調子づかせないこと。明日はこれに尽きる。
ホールトンが田中将より1点近く高い防御率でも最多勝を獲れたのは、すばり援護点が凄まじいからである。
なんとその援護率は「5.16」。6点以上取られなきゃ良いのだから、そりゃ勝てるわけだ。

ホールトンが投げる試合は、ホークス打線が爆発する可能性が高まる。
明日の焦点は中日がいかにそれを食い止められるかのただ一点で、
もしデータ通りに大差で負けるようなことがあれば、いよいよ流れを手渡してしまうことになりそうだ。


そのためにはホークス打線が目覚めるきっかけをどんな些細なことでも与えない集中力が不可欠になる。
何しろ相手は12球団最強打線。ましてやホールトン効果で能力値がアップした状態である。
極端に言えばセーターに開いたミリ単位の虫食い穴すらも見逃してくれないのが明日のホークス打線。
ほんの僅かな綻びであっても、見せたら即・負けくらいの覚悟が必要だろう。






「っしゃ!バッチコーイ!」



穴あきジーンズみたいな三塁手が凄く心配。



王手を願って拍手!拍手!拍手!
     
[中日ドラゴンズ] [スポーツ]









明暗を分けたのは、3番打者の一振りだった。


先にヒーローになるチャンスを迎えたのはホークスの3番・内川だった。
3回裏一死一二塁。史上2人目の両リーグ首位打者を成し遂げた天才は集中力を最大限に高めていたことだろう。
前を打つ2人がいずれも初球打ちで作ったチャンス。球場の熱気も含め追い風がビュンビュン内川の背を押す。

が、ここで落合監督がゆっくりと歩きながら、球審のもとに何らかの抗議に向かった。
どうやら内川のバットのグリップに巻かれたテーピングについての物言いだったようだが、
もちろんそんなものはフェイクで、真の狙いが内川の集中力を切らすことだったのは明らかである。


結果的にこの作戦は見事に成功した。内川を打ち取ったから成功と言うのではない。
この物言いにより、連続ヒットで一気に高まった球場のボルテージが一旦冷めたのである。
野球は流れの競技だと私は思う。そして流れを作る様々な要因のひとつが観客の熱気だとも思う。

特に敵地では、場合によっては打者よりも観客の作る空気の方が脅威になり得るほどだ。
落合監督はそれを逆手に取って、「空気を壊す」ことで流れを堰き止めた。
いけいけドンドンで盛り上がってきた空気を絶妙の間で壊したあの作戦は、見事としか言いようがない。

対する内川もさすがの首位打者で、なおも流れに乗じようと川崎、本多に続き初球を弾き返す。
これには驚いた。普通ならこのような「間」ができると仕切り直しの初球は様子を見るのが常。
だが内川はテーピングを剥がして球審に見せるという「超無駄な間」を挟まれたにも関わらず、
物言い前と同じテンションを維持してきたのである。そうでなければあの状況で初球打ちなどできるまい。

しかしこの物言いは内川の集中力を切らすだけでなく、吉見を落ち付かせる狙いもあったのかもしれない。
すっかり頭を冷やした吉見は、おそらくどんな球でも初球打ちと決めていたであろう内川を打ち取りピンチを脱した。
もはや打者vs.投手だけでは計ることのできない超ハイレベルな流れを巡る攻防であった。



そこから約3時間後、今度は延長10回表に中日の3番打者・森野にチャンスが訪れる。
二死一、二塁。今日既に2安打を放っている森野にカウント1-1から馬原が投じたのは直球。
解説の野村氏も言っていたが、昨夜小池に打たれたフォークを森野は狙ってくるだろうという読みを
逆手に取っての直球だったと思うのだが、ホークスバッテリーは大事なことを忘れていた。





森野は、なんにも読んじゃねえ!



内川のように配球から流れに至るまでを敏感に読む頭脳派と違い、森野は来た球を打つ本能派である。
言うまでもなく先制打の平田も本能派(本気で何も考えていないだけな気もするが)。

日本シリーズでは考え過ぎてドツボに嵌る打者が多い中で、案外頭カラッポの方が強いのかもしれない。
そんなことを感じた第二戦であった。



まさか敵地連勝すると思ってなかった人は強制拍手です