イレコミ!ドラゴンズ

黄金期の軌跡を形に残しときたくて削除せず放置してます
[中日ドラゴンズ] [スポーツ]

柳田殖生が遂に戦力外通告を受けた。
近年は毎年戦力外の候補に挙がっていたが、ファームでの好成績が評価されたのか、
一軍での通算成績は15安打1本3打点と悲惨ながら、なんとか踏みとどまってきた。

今季もあいかわらずファームでは好調で、打率.296はウエスタンの堂々3位。
そのままの打撃を一軍でも実践できれば、手薄な内野陣の救世主になれそうなものだが、
なぜかいつも一軍に上がった途端に調子を崩し、毎年シーズンの大半をファームで過ごした。

普通ならとっくにユニフォームを脱いでいてもおかしくない成績なのに、
なまじファームでは打つから期待せざるを得ない。ただでさえ中日は打撃陣が弱いチーム。
藁にもすがる想いで柳田の覚醒を待ち続けて八年。とうとう我慢が限界に達したようだ。


実はファームで好成績だったにも関わらず球界を去るのは柳田だけではなく、
今季ウエスタンで打率1,2位に輝いたソフトバンクの中西、福元の両人もやはり戦力外を受けている。
つまりウエスタンの打率上位3傑がそろって戦力外という珍しい事態が起きたのだ。

私はこの現象を鑑みるに、ファームでの育成法を見直すべき時期なのかなと感じている。
そもそもファームとは、一軍では実力の足りない選手が文字通り“鍛錬”をする場であって、
ファームで安定した活躍ができるようになった選手は“鍛錬”の段階をクリアしたとみなされ、
そういう選手は怪我でもしない限り、もうファームでやることはないというイメージがある。

だからファームで打った打たないという情報にまでファンは一喜一憂するし、
ファームで首位打者を取ったなんて言ったら来季は一軍でレギュラー挑戦だ!と息巻きたくもなる。
しかし、ここ十年ほどの中日のファーム事情を見ていると、どうやらファームでの活躍が一軍での活躍に
直結するわけでは全然なく、むしろ一軍で打てる奴はファームなんか無関係にいきなり一軍で打てるのではないかと。

たとえば今季の高橋周平はファームで七月までたった1本のホームランも打てなかったのに、
一軍に上がるや甲子園での満塁弾を皮切りに約二ヶ月で5本もかっ飛ばした。
ファームの成績が反映されるならこれは柳田がやることであり、高橋はまだ“鍛錬”を積むべき選手のはずだ。
ところがファームの成績とは正反対に、今季も柳田はからっきしに終わり、高橋にとっては飛躍の年になった。


そもそもだ。そもそも過去十年、ファームに塩漬けにしてちゃんと育った選手が一人でもいただろうか。
この育成法で何人もレギュラー野手を輩出しているのなら、大いにファームを活用すればいい。
ところが実際には、レギュラーになるような選手は入団間もなくしてすぐに一軍に定着するような連中ばかり。
少なくとも中日のファームは、野手育成に関してほぼ成果を挙げていないと言える。

今、中日には高橋や古本といった新世代の大砲候補がにわかに増えてきている。
柳田の教訓を生かし、ファームで長年塩漬けにするような育成法はぜひ取らないでもらいたい。
ダラダラとファーム慣れして生半可な成績をファームで残すような悲劇の若手を生まないこと。
それが世代交代をスムーズに行うための条件だと、私は思う。

最後に。





杉内から打った最初で最後のホームラン。
この打ち方がずっとできれば凄い打者になっていたのになあと、つくづく残念に思う。
柳田選手、八年間お疲れさまでした。




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           成りあがり


●中日4-6ソフトバンク

入団2年目の25歳・柳田が嬉しいプロ初本塁打を放った。

チームが敗れたため結果的には「空砲」になってしまったが、
この一発は多くの野球人に夢と勇気を与えるホームランであろう。


柳田といえば、枕詞のように付き回るのが「苦労人」という言葉である。
それもそのはず、2003年に野茂が主催するNOMOクラブに入団し、
平日と日中は建築のアルバイト、そして休日と仕事後に野球を練習するという、
常軌を逸した猛努力の末にプロ指名を受けた選手だからだ。

高校時代からスカウトに頭を下げさせるような才能の塊でもなければ、
大学野球で黄色い声援を受けるような人気者でもない。

しかし柳田は、「野球がやりたい!」という夢を無骨に抱き続け、
ヘトヘトになりながらプロ入団の栄誉を手に入れたのだ。

「苦労人」であるのは確かだが、それ以上に「努力人」である事が、
こういったエピソードから窺い知ることができる。



さて二軍でどんな好成績を収めても、
一軍へ上がった途端にまるでダメになる選手は沢山いる。
それは技術的な面は然ることながら、
やはりメンタルの部分が大きく作用するからなのだろう。

実際、この一週間で中村公と堂上剛という二人の若者が、
本来の実力を見せることなく再び降格していった。
二人とも、メンタルの甘さと弱さが指摘された。

この二人の降格によりチャンスが巡ってきた柳田。
しかも、いきなりスタメンという大役だ。

そして打った、まさかのホームラン・・・。

中村公と堂上剛が欲しくても掴めなかった「結果」を、
柳田は一発で掴んでしまった。

二人になくて、柳田にはあったもの。
それはやはり「メンタルの強さ」だろう。

プロ初スタメン、超満員のナゴヤドーム・・・。
数々の苦境を乗り越えた柳田にとっては、そんなもの何ら脅威ではない。

仕事終わりの夜、月に向かってバットを振っていたこの男は、
思う存分野球ができる今という時間を、誰よりも楽しんでいるに違いない。