イレコミ!ドラゴンズ

黄金期の軌跡を形に残しときたくて削除せず放置してます
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アベック兄弟



 ベックという言葉が使われなくなって久しい。90年代以降、道行く男女はカップルと表現されるようになった。決してカップルという言葉が近代的な響きを要しているとは思えないのだが、どういうわけかカップルはアベックに取ってかわって市民権を得た。未だにアベックなどと言っているのは熊本名物のアベックラーメンか、せいぜい野球界くらいなものである。もっともアベックの語源がフランス語のavecで、これが英語でいうところのwithに相当することを考えれば、「アベックホームラン」というのはあながちおかしな表現でもないのだが(前置詞が名詞化している点を除いて)、それでも日本人的にはアベックという言葉が付くだけで、語感の古臭さを拭えなくなる。 こういう点も、ボランチだのピッチだのと今風の語感を持つ用語を多用するサッカーに比べ、野球に前時代的な印象がつきまとう一因なのだろう。だからと言って「カップル・ホームラン」と言いかえればいいという問題でもないが。

 さてプロ野球におけるアベックホームランといえば、やはりONが代名詞として挙げられるが、その後もMK砲、バース掛布、豚バラ砲、FW砲(これは中スポがムリにつかってただけ)など球史に残るアベックがいくつか誕生した。それらのアベックの在籍するチームが、いずれも同時期に優勝しているところをみると、やはり優秀なアベックのいるチームは機能性が増すというのがよくわかる。そして時は2009年、去る20日の対外試合で2年ぶりに打ち上がった"DD砲"は、華やかさ、話題性ともに充分すぎるインパクトを見る者に与えてくれた。






 堂上兄弟のアベック弾。こんなにも我々を奮い立たせるアベック弾が、かつてあっただろうか。いかにアベックが死語になろうとも、この兄弟がいる限り、アベックが絶滅することはなさそうだ。

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サムライ出陣!




 ビッグ3が揃うと、さすがにオーラがある。次々と宮崎の地に降り立つ球界のスタープレイヤー達。その注目度は、NHK「ニュース7」のトップを飾るほどだ。ひしひしと伝わる緊張感、恐怖すら感じるすさまじいまでの威圧感。福留、松坂、岩村、城島、藤川、ダルビッシュ、そしてイチロー。この布陣をみただけで、野球ファンならば込みあげる興奮を抑えられないはずだ。70年以上のプロ野球の歴史は、ここから新たなステージへと突入する。間違いない。第二回WBCは、今後永らく語り継がれる伝説の大会となるだろう。そして、我々は後世の者たちに、この大会をこう伝承していくのだ。






「そこに、竜はいなかった」、と。






 中日ファンにとって、とても肩身が狭く、とても心中複雑な二か月間がついに始まってしまった。大会の盛り上がりをみて中日への興味を失うファンも、きっとおられるだろう。それはやむを得ないことだ。これだけ国を挙げて盛り上がっているさ中、ドラゴンズへの興味を保持しつづけろというのが難しい話なのかもしれない。やれイチローがどうした、やれ松坂がどうした、という話題で世間が沸きたつ中、野本が紅白戦で云々とか田中大輔の怪我が云々とかいうニュースをこれまで同様の熱意で受け入れられるか、正直言って私にも自信がない。しかし、それでも我々にとって最重要なのは、イチローでも松坂でもなく、野本の開幕スタメンであり、田中大輔の怪我完治なのだ。今回の心の葛藤は、中日ファンでありつづけるための試練といっても過言ではなかろう。もちろんWBCは見るし、中日の選手が出場してないのは素直に残念だが。あくまで心のベクトルは中日に向けていられるよう頑張りたい。
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中スポがぶっ飛んでる




 近の中スポはぶっ飛んでいる。前からそうだ、と言われれば返す言葉がみつからないが、それでも最近は、そのぶっ飛びぶりが常軌を逸している。例えば今日の一面(上記画像)。各紙がそろってサッカー代表を取り上げる中、この新聞だけはまさかの英二である。それも、なにか特別な事態がおきたわけではなく、英二が森野相手にバッティングピッチャーをつとめた。ただ、それだけのことが、国民の関心を集める代表戦を小さく左端に追いやってしまうのだ。いったい東海圏民の何%が英二の話題に食いつくというのか。いくら野球ファンでも、さすがに今日はサッカーだろ。思わずそうつっこみたくなる中スポの暴挙に、あきれを通りこして清々しさすら感じるほどだ。判官贔屓も、ここまでくると立派。この調子でWBCの期間中も大会をいっさい無視してドラゴンズ情報に徹してくれたら、私は中スポ本社の玄関前で土下座をしてやろうと思う。

 プロ野球の人気低迷が叫ばれて久しい今、球団が生き残る最大の術(すべ)が地域密着であることは、北海道の日本ハムが証明してくれた。その点、親会社たる中スポの度をこえたドラ贔屓というのは、まさしく現代のスポーツビジネス手法の常道ともいえよう。実際、中スポに総合スポーツ情報誌の要素をもとめる読者は、あまりいないと思う。そういえば昨年、一時的にではあるが、中スポは従来のドラ応援紙のスタンスをゆるめ、いくつかのトピックスを一面に載せる一般紙のような構成にかえたことがあった。結局元のドラ情報紙に戻したところを見ると、おそらくあまり評判がよくなかったのだろう。それもそのはず、中スポは文字通り盲目的にドラゴンズをあつかうからこそ意義があるのだ。その他のスポーツの記事が読みたければ、最初から日刊スポーツかスポニチあたりを買えばいい。極端にいえば、中スポは1~3面のドラゴンズ記事だけでじゅうぶん成立する媒体である。だからわたしは、これからどんな国民的なイベントがあっても中スポには中スポらしくあってほしいし、世間に媚びるようになったら中スポは終わりとさえ思うのである。ぶっ飛べ、中スポ。

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目醒まし時計




 川裕貴は、一言でいえば整理対象選手の筆頭候補だ。地元の中京高からドラフト1位で入団したのが2003年の秋のこと。いつまでも若手のイメージが付きまとうも、立派なプロ6年生。だがこの6年間、中川はプロとして何一つ期待に報いることができなかった。いや、結果を残す云々以前の段階にすら到達していない。有り余る才能を阻むのは、決してプロの壁ではなく、怪我、怪我、怪我。中川は、いつも怪我に悩まされてきた。プロ野球選手・中川裕貴の6年間は、怪我の歴史と言っても過言ではない。もちろん偏に怪我と言っても、防げる怪我と防げない怪我があり、中川のそれがどちらなのかは、ドクターでもなんでもない私にはよく分からないが、「怪我は言い訳にはならない」との意見を採用すれば、中川は所詮はそれまでの選手である、ということになる。第一、入団以来ろくに働いていない選手など、普通ならばせいぜい4年も面倒を見れば簡単に首を切られるものだ。それこそアルバイトの学生が、教えられた通りの要領でパックの刺身にたんぽぽを添える工程のように、プロ野球選手なんていとも簡単に解雇されるのだ。それが6年目のチャンスを与えてもらっているだけで、あるいは奇跡的なのかもしれない。しかし見方を変えれば、6年目を与えてでも、もう少し見ていたい魅力が中川裕貴にはあるということになる。長打力にせよ、巧打力にせよ、守備力にせよ。そして中川裕貴は、12球団を代表する二遊間・井端と荒木の両者から恐れられている、おそらく球界唯一の選手でもある。確か2年くらい前だったと思うが、井端が中川のことをえらく褒めており、意外に感じたことがあった。すると今度は荒木が、「こいつがいつか内野に戻ってきたら、オレも危ないんだよなあ」と最大限の讃辞を贈っている。こうなれば、嫌でも中川に期待せざるを得なくなる。そして8日の紅白戦、中川裕貴はホームランと3ベースを放った。6年寝たら、そろそろ起きたって誰も文句は言わない。中川の才能は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返し、ようやく覚醒を迎えつつあるようだ。
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真・勝負の年




 団2年目から、新井は毎年のように「勝負の年」と言われている。兄譲りの打撃センスを見れば期待が大きいのも無理はない。しかし、入団から3年を経て未だ一軍実績は皆無に等しく、定位置のファーストには福田、ブランコなど年々ライバルが増える一方だ。26歳という年齢もネックになる。一般企業なら「これから」という年齢も、プロ野球の世界では既に中堅。この時期に頭角を現わせない打者は、往々にして夢半ばで道を断たれるものだ。それでも新井への期待が大きいのは、一軍で代打起用された際に時折放つ「もうひと伸び足りない飛球」が、我々に夢を見せてくれるからだろう。周知の通り、昨季のファームにおいて新井は首位打者と最高出塁率のダブル受賞を果たした。つまり、既に二軍のレベルは超えているのだ。となれば、次は一軍の壁を破る段階なのだが、どうしても「もうひと伸び」が足りず、いつもギリギリで阻まれてしまう。いったか!?と思わせる飛球が、フェンス際でキャッチされ天を仰ぐ。こんなシーンを、もう何度見てきたことか。原因は分かりやすく、一軍レベルの投手の球威をスタンドへ運ぶだけのパワーと技術が不足しているからだ。技術は一朝一夕で補えるものではないので仕方ないとして、パワーは練習方法次第で幾らでもアップすることが可能である。そこで新井は、自主トレで徹底的に身体を鍛えたそうだ。その結果、見た目にも分かるほど一回り身体が大きくなり、フリー打撃でも快音を連発している模様。スラッガーになるのを期待されて入団した野手がウェイトを増量し、長打を狙いに行くのは自然の成り行き。そのためには、筋トレで力を付けるのが一番の近道であるのも当然である。あとは豪快なスイングを武器に、記念すべきプロ1号を狙いにいくだけ。だが、これだけはっきりと新井ブレイクの青写真は示されているというのに、どういうわけか私は新井に不安を抱いている。なぜか。答えは漫画「ドラゴンボール」のセル編にあった。
 
 完全体になったセルを倒すべく、トランクスは過酷な修行を経て筋肉モリモリのボディへと変貌し、その時の戦闘能力は、なんと父親であるベジータをも遥かに凌ぐものであった。しかし、トランクスはあっさりと敗れ去る。誰にも負けないパワーを手に入れたにも関わらず、だ。絶望するトランクスに、セルはあまりに非情な言葉を投げかける。「こんなパワーアップのためだけの変身ではなにも生み出せない……バカだおまえは……」。そう、トランクスは確かにセル以上のパワーを手にした。だが、パワー偏重があだとなり、肝心のバランスを失ってしまっていたのだ。これは全国のちびっ子達が、見た目の力強さだけが真の力でないことを教訓とした本作の名シーンである。道徳で習うヘタな感動話よりも、こちらを教科書に載せた方がためになる気がしてならない。 

 さて、このままセル編のおもしろさを語っていたいところだが、話題を新井に戻さなければ記事の意味がなくなってしまう。新井がどれだけパワーアップしても、元々の腕力が違うブランコやデラロサには勝ち目がないので、長打自慢ではいつまで経ってもレギュラーを取れないだろう。もっとも、村田修一のように極端な強打者体型ならともかく、どちらかと言えば細身の新井には長距離打者として限界があると思う。おまけに致命的な弱点として、守備の粗さまで兄貴の性質を譲り受けてしまっているのが痛い。ならば、その打撃センスをどう活かすべきなのか。簡単である。端からレギュラーを目指さず、とりあえず代打の切り札を目標に据えれば良いのだ。前切り札の高橋光も、切り札候補だった中村紀も移籍で去った。気付けば現在、右打者の切り札ポストがガラ空きである。代打のポジションであれば、雇用体制の不安定な外人が定着する可能性も低く、自ずと日本人が座るケースが多い。もちろん、代打で結果を残せればレギュラーを狙いにいけば良い。しかし現状ではポストが限られるため、あくまで前段階として代打業を務めると考えれば、将来へのモチベーションにも繋がるのではないか。どうだろう、こんなに新井の特性にマッチしたポジションが他にあるだろうか。近年、プロ野球の選手寿命はどんどん伸びている。まずは代打屋稼業で心技体を鍛え、そこからレギュラー取りに挑戦するのも、新しい育成のパターンだと思うのだが・・・。
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 間では「CHANGE!」が声高々に叫ばれているが、今季のドラゴンズに求められるのは、劇的な変革ではなく、(旧世代から新世代へ)速やかに移行すること。すなわち「SHIFT!」が相応しいのではないだろうか。川上が去り、ノリが去り、ウッズが去る。客観的に見ればこれほど戦力が急激にダウンする事も珍しい。しかし、それは数年来言われ続けてきた「世代交代」を、嫌でも実行しなければならないという事を意味する。その象徴こそが、浅尾であり、野元であり、ブランコなのだ。

 もちろん彼らだけではない。堂上兄弟にはそろそろ頭角を現わして欲しいし、平田には中堅のレギュラーを取って欲しい。新井だっている。吉見やチェンもいる。そう、2009年のドラゴンズでは、全員が主役になり得るチャンスを握っているのだ。それを活かすも殺すも、本人次第。固定メンバーが幅を利かせた昨年には無い「夢のある野球」は、落合初年度の2004年に感じが似ているのかもしれない。あの年のワクワクを再現し、秋には美酒を味わう。不景気に沈む東海地方を救うべく、今、落合竜の新たな戦いが始まろうとしている。