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休む男




野球選手にとって最大の屈辱は、打たれることでも四球を出すことでもなく、試合に出られないことだ。
選手たちが汗水たらして練習に励むのは、すべて試合で結果を残すための準備にすぎない。
試合に出てナンボ。そこで結果を残してナンボ。

そんな選手の想いを、故障はたちまち粉々に壊す。
故障は選手を心身ともに苦しめる。
出たい、出たい。出られない。
野球選手としての意義を奪い去り、多くの有望な選手を葬ってきた、故障。

大きな故障から立ち直るのはとても難しく、その難しさゆえに「カムバック賞」が作られた。
裏を返せば故障からの復帰は表彰されるほど稀なことなのだ。


ところが山井大介は、度重なる故障から幾度となく復活しては、
また新たな故障によりしばし休眠というパターンを足掛け8年に渡り続けている。

幸か不幸か選手生命に関わる致命的な故障に見舞われていないのも一因だろうが、
普通ならシーズンを棒に振るような故障が続けばメンタル的にやられてしまうものだ。

しかし山井は生き返る。
もう誰も期待もしなくなったとき、突然生き返り、マウンドに立つ。
悲壮感もなく、まるでここが俺の居場所だと言わんばかりに、当たり前に。

するとどうだろう、久々の登板を感じさせぬ好投をひょいとやってのけ、
さらに2,3度投げたのち、山井は歴史に残る名投をやってのける。
それもどういうわけか、いつもシーズン終盤に。

そうなればファンは期待する。
いよいよ来年は山井が先発ローテの一角か、と。

ポテンシャルを発揮すれば、最低でも二桁は計算できる。
山井自身も「来季こそは」と口にし、決意を表す。

だが、山井はまた眠る。
まるでそうする義務を負っているかのように、長い長い眠りにつく。

2007年11月1日。
あの日以来、山井は輝きを失くした。

2008年は1試合投げただけで故障によりアウト。
2009年は本来の力を発揮できず17登板止まり。

定石なら、31歳でこんな成績ならいつ解雇されてもおかしくはない。
しかし山井は違う。

いつかまた、あの輝きを。
一試合でもいいから見たい、見せてくれるのではないか。
山井大介というのは、そういう希望を持たせる投手なのだ。

その点、今中慎二という男も儚い希望だけで命を繋いだ投手だったが、
はっきり言って山井と今中とでは実績が雲泥の差。比べるのは筋違いだろう。

なのに、山井は他の投手と異なる「何か」を持っている気がしてならない。
だからどうしても、期待せずにはいられない。

また戻ってきたら、とんでもないことをやってくれるんじゃないかという、淡い希望。


ほとんどいないのに、たまに戻ってくると圧倒的にすごすぎる。
そういえば「週刊少年ジャンプ」にも、似たような作家がいるとかいないとか。

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この記事のURL | 2010.02.04(Thu)21:30 | 山井大介 | Comment : 00 | Trackback : 00 | 


 
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