まだまだ巨人3タテの余韻に浸りたい月曜休み。
改めて振りかえると、やっぱ初戦の吉見の好投が効いたよなぁと思う。
今季の吉見ははっきりと「エース」としての役回りを任されている。
開幕投手に始まり、意図的に巨人・阪神戦にぶつけるローテが吉見中心に組まれるなど、昨年のように下位球団相手に
白星を稼ぎまくるというわけにもいかない中、リーグ3位の8勝を前半戦で挙げているのは手放しで褒めても良いだろう。
特に巨人戦では4回投げて負けなしの4連勝(白星が付いたのは3度)。
今回3タテするまでは巨人に勝ったのは全て吉見が先発した試合というキラー振りを発揮し、昨季揶揄されたような
「下位相手にしか勝てない偽エース」との印象は完全に払拭したと言えよう。
本人は5年連続二桁でやっとエースと謙遜するが、2008年以降の実績、内容の両面を鑑みても、吉見は充分すぎるほどに
中日のエースと言われるだけの資格を有する投手になったと思う。
とはいえ、長年エースを張った川上憲伸のイメージが拭いきれていないファンの方も多いのは仕方のないことで、
吉見と川上を比べたときに川上の方が「エース然」としていたのはどうしても否めない点である。
だが人間に色々なタイプがあるようにエースにも当然、色々なタイプがあるわけで。
両者を比較して「どっちがエースに相応しいか」などと議論するのはナンセンスこの上ないが、
それぞれどのようなタイプなのかを分かりやすく例えてみたので、ご覧いただきたい。
【川上憲伸 エース期間・2002~2008】
前エース・川上憲伸は絶対的なカリスマであった。
感情を前面に出した派手なガッツポーズ、大舞台でやたら強いヒーロー気質、野手顔負けの豪快なバッティング・・・。
どれを取っても川上はエースそのもので、ファンの支持も猛烈に高かった。
おそらく中日史上でも5指に入るであろう人気選手である。
いわば学校に一人はいる「何をやらしても凄い奴」で、部活ではインターハイに出場し、学園祭では実行委員長か何かで
壇上に立ち見事な指揮で盛り上がりを演出し、さらに成績も抜群、ルックスもよく女子にモテモテ。
川上というのは、努力じゃどうしようもない天性のカリスマ性を持ったエースなのだ。
【吉見一起 エース期間・2009~】
一方の吉見一起は、学年に一人はいそうな頼りになる奴といったところか。
全体を鼓舞するようなカリスマ性は薄いものの、年齢からは想像できない大人びた落ち着きがあり、部活ではキャプ
テンとしてチームを引っ張りながら非常に冷静かつ適格なアドバイスを送り、周囲からの人望も厚い。
そのドシリと構えた存在感は教師からも一目置かれており、「吉見君に任せておけば大丈夫」という安心を与える。
派手さはないが無骨に努力をしていく、吉見とはそんなタイプだと思う。
このように、どちらもタイプこそ違えどエースに相応しいことには疑いようもなく、しかもちょうど入れ替わるように
スムーズに覇権を移行できたことは吉見を「エース」として成長させるにあたって最適な環境だったと思う。
今後も吉見は夏場の厳しい時期に巨人・阪神戦で集中的に投げることになるだろう。
だがそれは川上も通ってきた道(もっとも川上はそれを言い分に契約更改でゴネたが)。
エースがエースたる投球を続ければ、自ずと首位のゲーム差は縮まるだろうし、ダメなら離されるだけ。
25歳の投手には少々責任が重いけど、エースってそういうものだ。
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