●2-3巨人 越智から放った打球が右中間へグングン伸び、スタンドへと吸い込まれていった瞬間、野本圭は喜びを爆発させた。
大きく叫び、派手に右手を振りおろし、大歓声が包むグラウンドを一周し、7個の「0」が並ぶスコアボードに劇的な「2」を刻んだ。
6回までほぼ完璧に抑えていた朝井を中四日ということを考慮してか交代し、久保が出てきたところで流れは変わった。
結果としてはブランコの併殺打で好機を逸するも、無死一二塁はその後のドラマを予感させるには充分な伏線であった。
そして8回、伏兵・大島の内野安打に続く形で飛び出した野本の一撃に、多くのファンは今宵の決着を確信したことだろう。
何しろイニングがイニングだ。次の守りさえ凌げば、1点取った時点でセリーグの天下を掴むことができるのだ。
次の守りさえ凌げば・・・。
なるほど。世の中、そうそう甘くない。そんな人生訓を強烈に思い知らされる一発に沈み、ストレート制覇は成らず。
野本が打ったときは飛び跳ねて喜んだものだが、僅か10分間で天国と地獄を味わった気分である。
だが依然として圧倒的優位に立っているのは確かで、たかだか一敗したくらいでは痛くも痒くもないというのが本音だ。
なんといっても明日は土曜日。一週間の中で最も多くのファンが喜びを共有できる曜日である。
予報によれば月曜からはグッと気温が下がり、秋から冬へと一挙に気候が移ろうのだという。
今年最後の秋らしい陽気の土曜日、長かったセリーグの戦いに終止符を打つには、これ以上ない優勝日和だ。
スポンサーサイト